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シャルル5世による皇帝カール4世の歓待

1378年にパリを訪れた神聖ローマ皇帝カール4世(在位1346〜78)とその息子ヴェンツェルをフランス王シャルル5世が宮廷で歓待したときの様子。
フランス王家の象徴、百合花紋の垂れ幕の前に左からカール4世、シャルル5世、ヴェンツェルと並んでいる。
余興として、ゴッドフロワ・ド・ブイヨンのエルサレム略奪の寸劇が演じられた。左の船に乗るのは第1次十字軍の主導者、隠者ピエール。船には左からゴッドフロワ・ド・ブイヨン、イギリス、オーヴェルニュ、フランドルの旗が掲げられている。イギリスの旗があり、右側には王冠をかぶって闘うイギリス王とみられる人物もいるが、イギリス王はエルサレム略奪に参加していない。英雄的で模範的な十字軍勇士としてイギリス王を描くことで、百年戦争でのイギリス王の卑劣な行為を逆説的に強調しているともされる。
この写本にはシャルル5世の政治的メッセージが込められている部分が見られる。イギリス王に対して、カール4世の同調を望んでいたらしい。
フランス王家の事蹟を記している「フランス大年代記」は13世紀後半にサン・ドニ修道院で編纂され、書き続けられた。シャルル5世の命で父ジャン2世と自らの治世の部分が書き加えられ、その後もテキスト・絵画ともに変更や追加がなされている。

世界美術大全集10 ゴシック2 1370年代

シャルル5世による皇帝カール4世の歓待
「フランス大年代記」より
1379年頃 写本装飾 35.0×24.0cm
フランス バリ 国立図書館